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【福岡の裏側#4】MOROPAIN/福岡を代表するパン職人へインタビュー!「地域の中心となるパン屋さんを目指す」

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連載企画:福岡の裏側〜わたしたちが知らない福岡の魅力〜

今回の連載は、高宮で朝から行列ができるパン屋さん「MOROPAIN(モロパン)」さんを取材!実はインタビュアーの筆者も編集部も、MOROPAINのパンが大好きなんです。

そんなMOROPAINの魅力に迫るべく、オーナーの諸永さんへインタビューしてきました。パン職人歴は20年!

今回は古民家でオープンした開業当初のお話から、移転後に伝説の大行列ができたお話。また、パン作りに対するこだわりまで…!私たちのInstagramショート動画は前編後編に分けるほど、たくさんのお話をお伺いしてきました!

福岡の裏側:今回のテーマ

1.諸永さんがパン職人になったきっかけ

2.MOROPAINの売れ筋商品を教えてください!

3.古民家からの移転の裏話が聞きたい!

4.なぜ朝7時からの営業なんでしょう!?

5.今後の展望を教えてください

\今回のゲスト:諸永 裕士さん/

MOROPAIN オーナー
諸永 裕士さん

佐賀県出身。コンクールでの受賞経験はもちろん、今では専門学校での外部講師や海外出店の声がかかるほど、福岡を代表するパン職人。

10代で料理人を目指すもパン作りに魅了され、福岡・東京の有名パン屋さんへ勤める。当時勤めていた『DONQ博多阪急店』の出店時に来福し、その後高宮で古民家を利用したパン屋さん「MOROPAIN」をオープン。2021年1月に現在の場所へ移転。

インタビュアー・執筆
稲吉 葵

当サイト、福岡ローカルメディア「なるほど福岡」の編集長。企画・編集・SNSを含む運用を担当。

パンを買うために福岡市外へ車を走らせるほど、生粋のパン屋さん好き。普段から近所のMOROPAINファン。出勤前に寄ったり土曜の朝から並ぶことも。

MOROPAINといえばパン激戦区を引っ張る人気店!初めての食感・発見と出会えるパン屋さん

薬院・平尾・高宮、おそらく福岡市内でも最もパンの激戦区と呼んでいいほど、人気店がひしめくエリアです。その中でも朝7時から営業を開始し、お昼前にはほとんど無くなってしまう人気店「MOROPAIN」。

パンの特徴は、自立できないほどふわっふわ、トロトロな口溶けだったり、ハード系はザックザクの食感だったり。ドライフルーツとお酒の風味がたまらない大人向けのパンはもちろん、子どもにも人気のクリームパンやメロンパンも他にはない美味しさが詰まっています。

私は近所に住んでいるのでMOROPAINによく足を運びますが、近所のママ友たちの”推しパン”はことごとくバラバラです。笑(ちなみに私は「塩パン」推しです)

それくらい「こんなパンが美味しいお店」と一言では言いあらわせないほど、一つひとつの個性が爆発したパンが並びます。

パン職人歴20年!オーナー諸永さんが”パンに出会うキッカケ”は〇〇だったから

早朝から撮影、そしてMOROPAINの事務所にてインタビューさせていただきました!

パン屋さんになりたい!と思ったきっかけから教えてください。

諸永さん

高校卒業後、料理人になりたくてレストランで2年くらい働いていました。ただ、すごく厳しい環境で働いていて。若かったのもあり、一回ちょっと自由になりたいなと…。

それでフリーターになったんですけど、お金を稼ぐために掛け持ちをすることになって。元々パンが好きだったっていうのもあって「朝が早いパン屋さんでアルバイトしようかな!」って始めたのが一番最初です。

ええ!じゃあ、パン屋さんとの出会いは「朝働けるアルバイトだったから」っていうところからだったんですね。笑

諸永さん

そうそう!

で、パン屋さんで実際に働いてみて「明日、仕事が嫌だな〜」って思うことが2年くらい全然なくて。「お?これは自分に合っているのかな?」と思うようになりました。

それから福岡で5年、東京で5年、独立して10年目。そんな感じで、いま20年くらいやっていますね。

すごいですね…!東京で働いていたとのお話だったんですが、独立するタイミングで福岡へ戻って来られたんですか?

諸永さん

勤めていた『DONQ』の博多阪急店立ち上げ後、うまく軌道に乗せる役目として戻ってきました。

福岡の街がすごく好きだったし、独立するなら福岡だなと思っていました。

古民家から2021年に移転オープン!朝7時からにできた伝説の大行列について

MOROPAINといえば、最初は古民家でオープンされていますよね?

諸永さん

そう、でも元々は古民家じゃなきゃダメって訳ではなく、高宮薬院あたりの物件次第で店づくりをしよう!と決めていて。で、古民家でパン屋さんをすることになりました。

高宮では古民家のパン屋さんって、ちょっと珍しいですよね。

諸永さん

そうですね。その雰囲気が好きっていうお客さんも居てくれて。7年やっていて、そのままずっと古民家でやるつもりだったんだけど、取り壊しになっちゃって。100年くらいの古民家だったので。

そんなきっかけがあり、いまの場所へ移転されたんですね…!

諸永さん

運よく今のところがすぐ見つかって。今までと違うスタイリッシュな雰囲気で店づくりを再スタートしました。

なるほど!いまの店舗、ガラス張りでかっこいい雰囲気ですよね。ちなみに、移転やリニューアルオープンで印象に残っていることはありますか?

諸永さん

今でもすごい印象的なのが、1月末にリニューアルオープンだったんですけど、すごい雪が降っていた日で。でも朝7時の暗い中、90分待ちの200人くらい並ぶ大行列になって。近所の人の中でも、ちょっとした伝説になっていて。

その時は本当に泣きそうになりました。高宮で今まで頑張ってやってきてよかったなと。改めて「ここでずっとやって行こう」って思いましたね。

そんな伝説級の行列が…!いまSNSで流行りを作れる時代ですけど、近所の人が本当に美味しいって思えるパン屋さんって貴重な存在ですね。

実は意外だった!?MOROPAINが「朝に強いパン屋さん」になった理由

MOROPAINさんといえば、朝7時から営業の朝が早いパン屋さんでもあり、週4日営業で定休日が週3日。あまり営業時間が長くないお店です。

あの…11時くらいに来店すると、もうほとんどパンが無い時もあって…。笑

諸永さん

そう。うち、結構ワガママでやっているなって思っています。「売り切れごめん」みたいな。お昼頃すぐ閉まっちゃうでしょ。

実は、僕の中で門限が夕方の5時になってるんです。笑

門限が5時…!?

諸永さん

うちは共働きで妻も働いています。下の子がまだ2歳なんです。夕方5時に帰ってご飯炊いたり洗濯しないといけなくて。笑

子育てに比重を置かないと!って思ってから、思い切って「じゃあ、思い切って営業時間短くしよう!」っていう…。笑

そういう理由だったんですね!笑
いま11時からオープンとか、逆にお昼前から営業しようっていうお店のも増えている中、珍しいなとは思っていました。

諸永さん

僕、夜中の1時に起きて、夜8時には寝ていて。子どもたちはその後に寝てるかな。だから夕方の5時から子供達と家に居て、バタバタですけど3時間くらいは一緒に過ごせるので、家族の時間は作れてるのかなと。

そもそも日曜休みなんて、パン屋さんとしては大問題なんです。笑

大問題!笑
いえいえ、でもお子さんと過ごす時間って、今が貴重だと思います。
(私も小学生の子どもが居るので、ずっと頷いていました)

諸永さん

同じ業界の人たちから取材を受ける時にも、いろんな営業の形があってもいいよねって発信していて。夜のパン屋さんがあってもいい訳だし。

そもそもパン屋さんも増えすぎているから、地域の人もいろんなお店を選べた方がいいのかなと。それを周りに常に言っています。

MOROPAINにしか生み出せないパンとメニューの開発裏話

今度はパンや商品についてお話聞かせてください!MOROPAINさんといえば、とにかくパンの種類が多い印象ですよね。今度はパンや商品についてお話聞かせてください!

諸永さん

そう、うちはパンの種類が多いですね。普通のパン屋さんは1種類10個とか作るんですけど、うちは1種類3、4個からでも作っているから大変で。

でも“いろんな種類のパンがある”パン屋さんでいたいなと思ってます。

それってオペレーションが大変そうですね…!

諸永さん

そうですね、多種多様なパンを焼くなら、効率的に段取りを組まないといけない。そこは自分を育ててもらった『DONQ』っていう、大きな会社で学んできたことが活かせているのと、優秀なスタッフのおかげですね。

なるほど。種類が多いほど、パンを焼いていく段取りがすごく大変そうなのが伝わりました。
じゃあ、もし何かの種類に特化した専門店を作るならっていう商品はありますか?

諸永さん

そうだね、やっぱり『クイニーアマン』かなぁ。かっこよく言うと”僕のスペシャリテ”です。

MOROPAINのクイニーアマン、本当に美味しいですよね…。(この日も買って美味しくいただきました)

その他にイチオシ商品などありますか?

諸永さん

最近はクイニーアマンに『紅玉(※りんごの品種名)』が入ったものだったり。スタッフたちが一生懸命開発してくれた『レーズンバター』も美味しいんです。スタッフもパン好きな人が多くて。

ええ!じゃあ、いま並んでいる商品は、諸永さんが考えたパンだけじゃないんですね!?

諸永さん

そうそう、うちのスタッフがコンテストで賞を取った商品もあって。僕には考えられない味してるなっていうのも増えています。

最近、焼き菓子もだしているので、 100種類以上あります。開業当初とはラインナップが全然違います。

『レーズンの宝箱~スパイスをつめ込んで~』
スタッフ永田さんのカリフォルニアレーズンコンテスト金賞受賞作品。

ちなみにその中で一番売れている商品は何ですか?

諸永さん

メロンパンは、焼きたてを出したら売れるようになりました。最低でも4回か5回は焼いています。ダントツで売れていますね。

諸永さん

次に売れているのは明太フランスです。明太フランスには近所の木藤商店さんの明太子を使っています。

そうなんですね!メロンパンが売れるのは、子育て世代が多い地域の土地柄もあるかもしれませんね。

諸永さん

あと製法もだいぶ変わってきたので、だいぶ美味しくなりました。オープン当初来てくれたお客さん、もう一回食べに来てみて!って思っています。食感とかもオンリーワンな感じになってきました。

ちなみに、スタッフさんにもインタビューしたところ、おすすめは「ソフトフランス」だそうです…!筆者は塩パンが好きなので、種類豊富なMOROPAINだからこそ必ず好きなパンと出会えるかも…!?

確かに、MOROPAINのパンって水分量がすごい多い感じがします。それは発酵時間とかで変わるんでしょうか?

諸永さん

酵母や発酵、時間もそうですけど、日々勉強しています。パサパサしないように、すっと消えていくような感じを目指してますね。

MOROPAINが挑戦する企画とは?焼き菓子専門店や夜の営業も…!

MOROPAINさんって、3日ある定休日のうち、月曜と火曜は「モロのおやつ」として焼き菓子屋さんの営業もされていますよね…!?

諸永さん

そう、店はこぢんまりしてるけど、いろんなことに挑戦したいっていうのはあって。定休日が3連休あるけど、その時にパンの仕込みをしていて。パンの仕込みをやりつつ、焼ける範囲の焼き菓子を作ってるんです。

定休日なんだけど、その日は焼き菓子を買って喜んでくれたら嬉しいなあと。


諸永さん

あとは、今プレ5、6回挑戦しているのが「モロの食卓」というプロジェクトをやっています。

地域の飲食店の人と一緒にやっていて。夜に地域のお弁当や惣菜を置いています。例えばコンビニのお弁当ではなく、ちょっと豪華なお店のお弁当があれば、食卓でも楽しみが増えますよね。それで地域の飲食店の宣伝にもなりますし。

これまで誰もやったことがなくて地域のコミュニティ的にも繋がるし、徐々に形にしていきたいです。

面白いですね!地域貢献的な意味でも、忙しい方のためにもですね!

諸永さん

パン屋さんって、町の中心ではないけど、人が集まる一番のお店だと思っています。飲食店や他のもっと有効活用する方法はないかな、地域のためにっていつも思ってて。でも、バタバタしていて、なかなか難しいですけど!

確かに、外部の方との連携が大変そうですね。他にも何か企画されたりしたんですか?

諸永さん

あ、そうそう。夏休みの期間に「早起きメロンパン大作戦」をしました。

朝8時までに小学生が来たら、100円であげるよっていう企画。メロンパン税込み100円で、100円玉だけ握りしめておいで!みたいな感じにしたら、すごい状態になって。ラジオ体操の帰りに団体で来るから、メロンパンが足りない!みたいな。笑

初めてのおつかい的な感じで、利用してもらえたら嬉しいなと。

この時、来てくれた子どもたちのことを嬉しそうにお話ししてくれた諸永さん。本当に地域や子どもたちのことを考えて、いろいろ企画されているのが伝わってきました!

オーナー 諸永さんの今後の展望を教えてください

たくさんお話聞かせていただきありがとうございます!最後に、今後の展望をお伺いしています。ちなみに、この高宮のお店以外に店舗展開とかは考えられていますか?

諸永さん

今のところは店舗展開は無いですね。僕が見えている範囲でパンを焼こうと思っていて。

ただ、今いろんな話が飛んできていて、揺さぶられていて。海外…アジアでMOROPAINを広めないかっていう話も。視察に行く予定も既にあったりして、すごい揺さぶられています…!笑

諸永さん

あと「80歳までパンを焼き続ける」っていうのは自分の中で決めています。

でも色々やりたくなっちゃうので、地に足つけてこの場所でパンを焼きつつ、新しい挑戦もしていきたいですね!

海外の話もそうですけど。「海外の人があんなに喜んでくれるなら」っていう気持ちもあるので。あとは家族のことも大事だし、いろんなバランスを考えながらパンを焼き続けたいです。

諸永さん、貴重なお時間ありがとうございました!

MOROPAINの店舗詳細

スクロールできます
店名MOROPAIN(モロパン)
営業時間7:00〜15:00
※売り切れ次第終了
定休日日・月・火
所在地福岡県福岡市南区市﨑1-2-8
高宮マンション 1F
アクセスGoogle Map
公式HP詳細Instagramを見る

編集部より

早朝6時頃から撮影に対応いただき、インタビューにもたくさん答えてくださった諸永さん・MOROPAINのスタッフの皆さん。特に印象的だったのは、家族やスタッフさんのお話を嬉しそうにされている様子。地域貢献していきたいという熱意。「パン屋さんは地域の中心になれる」という言葉もとても印象に残りました。

ちなみに余談ですが、MOROPAINのお店の作りは少し独特で、カウンターからパンを選ぶスタイルです(某ドーナツチェーン店のイメージ)「あれって、どのパンにするか迷ったら、戻ってもいいんですか?」と野暮な質問をすると「戻ってもいいんですよ!笑」と笑っていました。そんな感じで、雑談のような形で盛り上がった今回のインタビュー。

その他にも、福岡のパン職人さんと仲がいいお話。他店が高宮に進出してきた時の本音などなど…。笑

なかなか聞けない貴重なお話をたくさんお聞かせいただきました。諸永さんの想いとこだわりが詰まったお店、ぜひ早朝から足を運んでみてくださいね。


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